初出は、1992年に刊行された『SUPER MJ 機動戦士ガンダム最新MS造形資料集』。当時は存在のみが言及されるだけでデザインは描かれておらず、漫画『F90FF』でも登場人物の台詞で言及されるだけだったが、『F90FF』の続編的位置づけである漫画『機動戦士ガンダムF90クラスター』で正式な設定が起こされ、柳瀬敬之による機体デザインも公開された。また、2025年に通販サイトのプレミアムバンダイで本機のマスターグレード (MG) プラモデルの受注販売が決定し、「ガンレイド」という固有名も設定された 。
ヘビーガンの後継機を策定する「RGM-X計画」にもとづき、F9シリーズの量産原型機として試験生産された機体。設計はサナリィのナムスド研、生産はグリプス1工廠およびサイド3のツィマット社が担当した。当初は、F90からハードポイント・システムと疑似人格AIを排し、F70 キャノンガンダムと同様の高性能を追及した汎用機として開発されたが、F70の量産計画が頓挫したことを受けて、ヘビーガンやF71 Gキャノンとのパーツ共用で生産性と稼働率を高めるという妥協を強いられた。
ムーバブル・フレームはF70の設計を流用したマイクロ・ハニカム構造品を採用しつつも、外装はより安価な通常のガンダリウム・セラミック複合材に変更され、コンピューターとアビオニクスはF71と同等品となっている。ジェネレーターも、F71と同等の「AE/MG-3200J」を搭載する予定だったが、出力不足の指摘を受けて変更され、ブロック20以降の制式型では、F70の主機をツィマット社が改修した「Ti-103 “シリウス”」を搭載している。これらの変更は機体の重量増加を招き、近接格闘性能では極限まで軽量化されたF90に大きく劣っている。一方、F90からのフィードバックによるミッションパックの運用能力は維持されており、F90と同等のハードポイント数を生かした全領域作戦能力を獲得している。ただし、F90と同じ高コストなホロ・キューブ系大処理容量コンピューターではなく、換装ごとに書き換えを要する在来システムを使用しているため、換装直後に復帰する野戦換装は困難とされる。それでも、1回の書き換えにかかる時間は26分に抑えられており、実戦では実質的な「即時」レベルとなっている。
0116年初頭に、FF隊に編入されたバズ・ガレムソン大尉による慣熟訓練を兼ねた模擬戦闘が実施される予定であったが、ジョブ・ジョンいわく最終段階で教育型コンピューターにエラーが発見され(正確にはF90のAIはコピーできず、実働データを旧来型のコンピューターに落とし込む過程で未解決の不具合が生じている)、配備に至っていない。0118年に行われたRGM-X計画の選定では、コストと出力バランスから不合格となり、ライバル候補であったAEフォン・ブラウン支社製のRGM-119X プロト・ジェムズガンに採用を奪われる。もっともこれは、RGM-X計画とフォーミュラ計画の先導者であり、連邦軍とマハの抜本的な改革を求めていたハウゼリー・ロナの暗殺が影響しているとされ、機体の高性能を支持する現場の評価もあって、エコーズなどの特殊部隊や海兵隊用の少数生産が決定し、年月が経過して以降もコロニー自治体やコロニー公社などに近代化改修仕様が納入されている。また0121年には、傭兵部隊「ダンシネイン」の一員として第1次オールズモビル戦役を戦った木星出身の小隊「死神三銃士」(デス・ガンズ)も、それぞれO、G、Qの各ミッションパックを装着した機体に搭乗する。これら死神仕様は、サナリィ木星支社が生産した技術試験用の機体をベースにしていると推測され、対ビーム・コーティング繊維製のステルスポンチョを標準装備している。しかし、クロスボーン・ガンダムのマントと比較して対ビーム性能は直撃1発程度と低く、機体のスラスターにも干渉しやすいという欠点を有している。