『MSV』の文字設定が初出。外観は、『ガシャポン戦士』でSDとしてイラスト化・写真シール化(塩ビ人形の改造)され、『MSV』の続編企画『MSV-R』で大河原によって通常の頭身で設定画が描かれた。名称は、『ガシャポン戦士』では「先行量産型ザク」、『MSV-R』では「ザクII初期生産型」あるいは単に「ザクII」、その後は「先行量産型ザクII」、「ザクII A型」と一定しない。
宇宙世紀0077年8月に試作機がロールアウト。C型以降と異なり、ザクIと同様のスパイクのない球状のアーマーを両肩に装備しているのが特徴である。また、重力下での運用には対応していないとする資料もある。本来はザクI(A型、B型)に続く "MS-05C" として計画されたといわれるが、新たな型式番号が与えられている。これは、構造自体の抜本的な変更以外にこれ以上の性能向上は望めないためとされるが、一説には開発費の高騰から別の兵器の予算枠を割譲されたためともいわれる。なお、型式番号末尾の "A" は開発当時にはなく、のちにバリエーションが増えたために便宜上付けられたものである。
0078年1月からジオニック社のズム・シティ工廠で製造開始、パーツをサイド3内に輸送してのノックダウン生産で量産が開始されるが少数の生産に留まり、生産ラインはC型に引き継がれている。ただし、C型が本格的量産体制に移るまでの約半年は量産が続けられており、試作機を含む91機(84機とも)が生産されている。第1次・第2次生産の計72機は完成と同時に実戦配備され、開戦前までに両肩の装備をC型と同様にレトロフィット、さらにFCSなどアビオニクスも改修されていることから、外観や運動性能からA型を識別することは難しいとされる。また、これらはすべて実戦参加している。
コックピットはザクIから大幅な変更点はなく、機種転換はスムーズにおこなわれている。また、初期のMSパイロット錬成における本機の功績は大きい。索敵から艦船などへの効率的な攻撃手順、また整備・稼働機の確保など、錬成と同時に問題点の洗い出しも教導機動大隊で徹底的におこなわれている。中でも、C3Iの活用が不可能なミノフスキー粒子散布下において、あえて最前線の指揮官を「選良」と位置付け、より多くの責任と権限を与えることにより、現場の判断で臨機応変な意思決定が迅速におこなわれるようになる。開戦当初の電撃作戦をおこなったほとんどのパイロットが本機で操縦技術や練度を磨いており、前線指揮官としての能力を身に着けている。本機はその後、機体の不足からC型やF型に改修されているが、最終的には同大隊に配備された機体のみが残されたというが、戦後にその姿を見ることは非常に稀である。